Date:2026.02.06
【特集】成年後見制度が大きく変わる?見直し案の全容と「私たちの安心」への影響
令和8年1月、法務省から「法定後見制度(成年後見制度)」の見直しに関する改正案(要綱案)が公表されました 。成年後見制度は、認知症や障がいなどにより判断能力が十分でない方の権利を守る大切な仕組みですが、今回の改正案は「これまで以上に本人の意思を尊重する」ことを目指した画期的な内容となっています 。
しかし、新しい制度案を前に「費用はどうなるの?」「支援してくれる人は見つかるの?」といった不安の声も耳にします。私たち「特定非営利活動法人 釧路・根室権利擁護支援センター」は、地域の権利擁護の中核として、これらの疑問に徹底解説でお答えします。
1. 制度の枠組みが「オーダーメイド型」へ
これまでは、本人の能力に応じて「後見・保佐・補助」の3つの型に当てはめる画一的な仕組みでした 。 見直し案では、この区分を廃止し、「補助」という一つの枠組みに一本化されます 。
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本人に合わせた自由な設計:「この銀行の手続だけ助けてほしい」「不動産の売却だけ同意権をつけてほしい」といったように、本人の能力や生活実態に合わせて、支援が必要な範囲だけをピンポイントで選べるようになります 。
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「特定補助人」が重い症状の方をサポート:判断能力を常に欠いている状況(現行の後見相当)の方には、新たに「特定補助人」を付すことで、重要な財産行為の取消権や保存行為といった手厚い保護を継続します 。
2. 費用の不安:負担は増えてしまうのか?
「制度が複雑になると、裁判所や専門職に支払うお金が増えるのでは?」という心配は当然のことです。今回の案には、むしろ費用負担を軽減し得る仕組みも盛り込まれています。
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高額な「鑑定」を柔軟に省略:これまで、重い判断が必要なケースでは数万円〜十数万円かかる「鑑定」がほぼ必須でした。見直し案では、医師2人以上の意見を聴いて「明らかに必要がない」と裁判所が認めれば、鑑定をせずに手続を進められる道が拓かれました 。
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「必要な分だけ」がコストを抑える:すべての事務を一律に任せるのではなく、支援範囲を限定できるため、不必要な事務コストが発生しにくい構造を目指しています 。
3. 担い手の不安:誰が助けてくれるのか?
釧路・根室という広大な管内において、「支援者が見つからない」という状況は絶対に避けなければなりません。
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「本人の意向把握」が法律上の義務に:改正案では、補助人が事務を行う際、本人に情報提供を行い、意見を聴き取ることが明確な義務(意向把握義務)として位置づけられました 。これにより、支援者の質が法的に担保され、本人が安心して任せられる体制が整います 。
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「法人後見」という解決策:個人の後見人の場合、その人が高齢になったり病気になったりするリスクがありますが、当センターのような「NPO法人」が受任する法人後見であれば、組織として永続的にサポート可能です 。
4. 現場の声を反映した「かゆいところに手が届く」改善
実務の現場で長年課題とされていた点についても、具体的な解決策が示されました。
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郵便物の管理(特定補助人):裁判所の許可を得て、本人宛の郵便物を受け取り、内容を確認できるようになります(期間:最長6か月) 。これにより、督促状の見落としによる不利益などを防ぐことができます 。
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死後事務の明文化:本人が亡くなった後、火葬や埋葬の契約、期限の来た借金の支払いなどを、裁判所の許可を得て行えるようになります 。
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任意後見との併用:本人があらかじめ選んだ人と契約する「任意後見」と、裁判所が選ぶ「補助(法定後見)」を重ねて利用できるようになり、隙間のない支援が可能になります 。
当センターの想い:釧路・根室の安心を守るために
私たち「釧路・根室権利擁護支援センター」は、弁護士、社会福祉士、精神保健福祉士等の専門職有志が結集して設立されました。この地域特有の広域性をカバーし、誰もが孤立することなく、自分の意思で暮らし続けられる社会を目指しています。
制度が「案」から「法律」へと変わっていく過程で、私たちはこれからも地域の皆様に最新の情報を届け、不安を解消する活動を続けてまいります。
ご相談ください
「新制度になっても今の支援は続くの?」「費用について具体的に計算したい」といった個別のご相談も承っております。司法と福祉が手を取り合い、あなたの権利を共に守ります。
特定非営利活動法人 釧路・根室権利擁護支援センター
(釧路・根室管内における連携・協働体制の中核として)